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そもそも俺はだれ?第2話

高所作業研究室のKENです。

誰にも興味を抱かれない前提で第1話を書いてみました。

不思議なもんで数名の方からコメントを頂き、驚きでしたW

さて、第1話の続きを振り返って行こうと思います。

前回は『うつ病』を煩って、数年間引きずりながら次の転職を決めたところまで行きました。

妻のふとしたひと言から転職を決め、土木系のがっつりガテン系の会社でお世話になる事になりました。

営業は絶対嫌だと伝えての採用だったので、もちろん現場作業員でのスタートです。

ここでお世話になったのは、地盤改良工事や地盤調査をしている会社です。

社長や事務員を入れても10名程度の小さな会社でした。

この会社では一般の木造住宅を新築する際に家が傾かないよう、杭を打つ作業をしていました。

出社初日は土砂降りの雨。

社長と会社で待ち合わせして現場へGo!

右も左も分からない状況でスタート。

長さ4m以上で30kg~40kgある鋼管抱えて運び、立てて重機で地面にねじ込んで行く。

延々と降り続く雨。

現場が終わる頃にはびしょびしょ、どろどろ、ぼろぼろ。

不動産営業でなまった身体には刺激的過ぎる初日でしたね。

完全燃え尽きていたこともあり、社長の運転する帰りの車中寝てしまうという粗相W

会社に戻り片付けをして帰宅。

玄関開けて「ただいま~」の声で出て来たかみさん。

「その格好…どうしたの?W」と、どろどろでぼろぼろの私をみてのひと言でしたね。

シャワーを浴び、食事し、落ちる…

翌朝びっくり!気持ちが超楽!筋肉痛がやばい!

と、私の『うつ病』脱出の出口の光が少し見えた感じでしたね~。

とにかくこの仕事をやり始めて1年は毎日毎日が必死でした。

日に日に体調も良くなり、充実した日々が続いてました。

ふとした時にこの会社の環境を見ていて、自分のやりたい仕事で起業するってのもありだなぁ~と感じました。

これまで、『働く』とはなるべく大きな会社に入り、収入の安定したサラリーマンしか考えた事が無かった。

自分としては新卒で苦労して東証一部上場企業に就職したにもかかわらず、何も考えずに転職、そして病気と転がり落ちている感じで毎日過ごしていました。

しかし、この頃から『働く』事のイメージが少しずつ変わってきていたのだと今になって思います。

話しを戻して。この会社で1年半過ぎた頃、社長から『営業』と『現場作業員』を兼任でやらないかとオファー。

これはマジで悩みました~。

もちろん営業をやることへの不安が第一でした。

この会社にいて感じていた事でもう一つ重要な事がありました。

『役割』です。

私は比較的器用な方だったので、大概の事は自分で何とかなってきたように思います。結果、人との協力関係に重きを置かなくなっていました。

しかし、現場作業をチームで行っていたり、小さい会社で社長から新人の作業員まで全員を俯瞰してみていると色々と気になって来ていました。

みな得意な事や苦手なことが違う、うるさいけど人の輪の中心にいる人、物静かに何も言わないけど常に周りのバックアップをしている人。

特にこの会社の社長に感じていたのは、『社長』と役割・役職を行う人と言う感覚。大きな会社や不動産の仕事をしている時はある意味『社長』は『社長!』と言う感じで、やるべき仕事の役割を示したものではないと思っていましたね。

と言うわけで、この会社での自分の役割を改めて考えた結果このオファーを受ける事にし、『営業』兼『作業員』で新たに動き始める事になりました。

まぁしんどいの一言。日中現場作業を行って、戻ってから設計と見積もり、現場の段取り。ただ不思議とストレスはあまり無かったように思います。

こんな日々を過ごしていると、自身の中で『起業』への興味が少しずつ膨らんで来ていました。

どんな仕事で起業しようかなと、よく考えていましたね~。

とにかくライバルが少なく、ニッチな業種や仕事で起業しようと思っていました。

とある夏休み。長野の山奥で開催されていたアウトドア合宿に参加する機会がありました。

そこで知り合った方に、一緒に山登り等に誘って頂く機会があり、自身でもトレイルランなども趣味としてやりはじめる事になりました。

そんな中で、ロープを使った登山やクライミングがあることを知り、これ~なんか仕事にならないのかと色々調べ始めたのが今の仕事のきっかけです。

調べて行く中で、プロとしてロープ技術を使った仕事があることを知り、いくつかの会社に募集をしているか問い合わせをすることになりました。

この時、すでに32歳。子供3人。という状況。

1社だけ面接をしてくれる会社があり、採用まで至りました。

まぁここで待っていたのは恐ろしい現実。

日給なんと8,000円スタートでその後もほぼ変わらず。

とても日中の仕事だけで家族を食べさせることが出来ないので、夜は居酒屋でバイト。

技術を習得することや仕事の流れを知る為、在籍を続けていましたが3年が過ぎたころ、区切りを付け『独立』の道を選びました。

ひとこと。辞め方が下手でした。

未だにここでお世話になった会社とは疎遠になってしまっています。人とのつながりを絶ってしまう退職はこの時が始めてでしたが、未だに残念に思っています。

狭い業界ですので、どこに行っても私についた悪いイメージはありましたW

まぁ気にしてもしょうがないので、自分のやるべき事をとにかく前に進めるつもりで最初の3年間はやってきました。

独立して4年目に転換期が来ました!

と長くなったので、転換期以降については次回にしようと思います。

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そもそも俺はだれ?第1話

高所作業研究室室長のKENです。

と、いつも変わらぬ挨拶から始めてますが…そもそもお前はだれ?って思いませんか?

私自身はあまり過去に興味がないので、あまり色々振り返ることはないのですが、そもそも俺はなんなんだと思い。

自分の過去のイベントを整理してみよう!と…

ということで、簡単に人生のストーリー書いていきま~す。

※恐らく興味ない方からするとマジでつまらんと思うので、読むのはここでSTOPしてください。

どこまで遡るかな~。

高校から大学と体育会陸上部で800mという、めっさキツい競技をやっていましたが、ろくな成果は残せませんでした。

分岐点は高3のIH神奈川県予選を通過できんかったところ辺りだなと思います。

マジで勝負弱いのです。

県大会直前に県トップタイムを叩き出し、意気揚々と県大会に出場しましたね~。

1次・2次予選は無事通過したが、帰宅後39度の発熱(笑)

翌日、準決勝はぼろぼろながら何とか通過。

決勝は…ラスト直線で6位、7位争い…競り負けて…関東大会行けずW

当日はかなり凹みましたが、結局笑うしかない結果でしたな。

結局、中途半端にやり残した感を持ちつつ大学進学、そのまま競技は続けたものの、周りの選手はほとんどが高校で全国区の活躍をしたメンバーばかり。

必死についていくが、結局大学2年時に大きな怪我でほぼ競技人生終了。

大してやりたいこと見つからないまま就職活動開始。

2000年3月卒業なので、マジで氷河期。

就職氷河期世代に支援?平均給料を調べたら驚く結果に | 経験者が ...

何とか2社内定を頂き、その内1社に就職する運びとなりました。

最初に就職したのは、内資系製薬会社でした。

医療用医薬品の営業としての採用でしたね。

営業するために、MR(医薬情報担当者)資格が必要なため、本社に約3ヶ月缶詰で勉強。何とか資格を取得し、最初の赴任は…北海道函館市!!

いや~一人暮らしは楽しかったっすね。

函館では渡島半島の半分が自分の担当エリアという広大な敷地を頂き、ドライブ三昧でしたね。

主に回っていたのは、内科、整形外科、眼科ってところです。

ここで今思うと若気の至りだったなぁと言う出来事発生。

同じ病院を担当している他社の営業マンから「うちの会社に来ない?」と声を掛けられテンションMAXで乗っかってしまいました。

と同時に当時付き合っていた彼女と結婚。今のかみさんです。

そして、結婚してすぐにかみさん妊娠。

と、色々と大きなイベントが大量にかなりやる気は満々な状態でしたね~。

さて、意気揚々と外資系大手の製薬会社に転職し、まずは取扱い製品の勉強と製品に関わる病気について社内で講習を繰り返すスタートでした。

と….あることに気づきます。

自分の身体に出ている症状が、いま勉強中の病気の初期症状とまったくもって一致。

まぁ、あれっす。『うつ病』っすね。

ということで、『うつ病』発症!!まずい…転職したばかり、結婚したばかり、かみさん妊娠したばかり…。

あまりに始めたばかりが多い為、会社にも、嫁にも相談出来ず、症状は悪化の一途をたどるばかり。

会社の端末で、自社の営業マンが訪問していない病院を探し、受診し薬を処方してもらうが、全くもって改善傾向なし。

そうこうしてると、人としゃべるのが怖い、病院で医者を待っている時間に冷や汗が止らない…寝れない…。

まぁこの辺まで来ると会社にも妻にも言うしかないっすよね。

覚悟を決めて上司に相談し、3ヶ月の病気休暇を頂き一安心。

と思いきや、安心したのは最初の1週間だけ。その後は、転職したばかりで仕事をしてないこと、結婚したばかりだということ、かみさんのお腹はでかくなって行くこと等々で、休んでいるのも超苦痛。

どうにもなりませんね。

3ヶ月を待って、見切り発車で仕事に復帰。なんだかんだ誤魔化しつつ営業活動を続けるが、瞬く間に悪化W

そして長期休暇。

を数回繰り返すが、子供も生まれてしまっとるし、もう限界。

かみさんと相談し、退社し、一度実家のある横浜に戻ることとなりました。

とまぁ、自分の能力の度合いを見誤った、自業自得の展開となりました。

この時、年は26歳を迎えるタイミングでした。

子供とかみさんを連れ、実家に戻りしばらく静養させてもらいました。

と言っても、仕事辞めとるし、いつもまでも働かん訳にはいかんと言うことで、再就職先を求めて就職活動再開。

従前と同じ業界だと家族も心配の様だったので、別業種で探すこととなりました。

就職出来たのは『不動産』会社。

電鉄系の比較的硬い感じの不動産会社に就職し、不動産売買の営業をスタート。

6月に入社し、「11月位に『宅建』の試験あるから資格とってね。」と上司は言う。

『はい』と言うしかないですよね。

で、資格取りました。

すごい営業成績を上げるわけでもなく、とりあえず家族を養える程度の仕事を続けながら毎日過ごしてました。

と言うのも、仕事に復帰したものの、いまいち精神状態はあまり良くない状態が続いていました。

自分が壊れない程度に働いていましたが、この状態でいいのかはかなり悩んでましたね~。

3年ほどたったある日、かみさんがこんなのあったよと持ってきたのは、いまは無き『ガテン』という、職人系求人のフリーペーパーでした。

「営業じゃなくて身体動かす仕事してみれば~」とかみさんに言われ、ほうほうほうと思わず手に取ってしまいました。

これ考えると、うちのかみさん強いっす。よく考えりゃこの時点で2児の母ですもん。母は強いっすね。

と、不動産の営業に行き詰まりを感じていた私は試しに面接だけ受けてみようと、とある会社に問い合わせ。

面接時に色々と事情はお話ししたのに何故か採用の連絡W

これは縁だ!と思い、周りの方にご迷惑が係らぬよう転職の準備を進め、2ヶ月後位に整理をつけ転職しました。

この時点で3回目の転職Wそれも全く違う業種W

次に行く会社が今の私に大きく繋がっているので、ここから先は次回にします。

書いてて不思議。自分の過去を書いてみようと思って書き出すと色々と思い出すもんだなぁ~と。

それではまた次回お会いしましょう!! adieu

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『ロープ高所作業』と『墜落制止用器具』

高所作業研究室のKENです。

今回は『ロープ高所作業』と『墜落制止用器具』の関連性等について書いていきます。

『墜落制止用器具』についてまだ詳しく書いてはいませんが、今回はこの二つの法律の関係性でよく受ける質問について整理して行きます。

良く出る質問はいくつかありますが、下記の通りです。

①『ロープ高所作業』をするのに「フルハーネス:墜落制止用器具」を着用しなくてはならないのですか?

②『ロープ高所作業』をするのに「墜落制止用器具特別教育」は必要ですか?

③海外メーカーのハーネスやランヤードは使っても大丈夫ですか?

こんなところで中心でしょうか…。

え~、とりあえず一言。自分の命が係っている仕事なんでちゃんと自分で調べて下さい!

質問者の多くは得てして、何も調べず聞いてきます。私からすると上記の問題は究極的にはどうでもいいことで、自分で調べてこれが最大限の安全が担保できると判断して作業を行うことが本質的には重要です。

別で書きましたが、法律はあなたの命を守ってはくれません。何をするにも高所作業の安全を担保するには最終的には自己責任で“決定”と“実行”を繰り返すしかないのです。

話しがそれました。戻しますね。

①『ロープ高所作業』をするのに「フルハーネス:墜落制止用器具」を着用しなくてはならないのですか?

原則、フルボディハーネスの着用が必要となります。法律文面の解釈だと6.75m以下については、“胴ベルトタイプの墜落制止用器具“でも良いとなっていますが、6.75m以下のみでロープ作業を行う事は現実的にはフルボディハーネスの着用と考えた方がいいでしょう。

ただし、その他の質問でも同様ですが、現在は『墜落制止用器具』施行後の経過措置期間中ですので、旧規格の『安全帯』を使用している方については上記の規定外と考え、従前の『安全帯』規格の法律に乗っ取った作業であればよいとされています。

②『ロープ高所作業』をするのに「墜落制止用器具特別教育」は必要ですか?

『墜落制止用器具』の法律では、3要件が揃う作業を作業員に実施させる場合、『特別教育』を必要としています。

3要件とは

1.高さ2m以上の箇所で

2.作業床を設ける事が困難な場合で

3.フルハーネス型を使用させる

です。

しかし、この規定の最後に括弧書きで(ロープ高所作業は除く)とあります。

ですので、仮に『ロープ高所作業』でフルハーネス型を使用する場合でも『特別教育』は必要ないと考えます。

では本当に必要ないでしょうか?

高所作業は大きく分けて3つの作業形態に分かれます。

1.レストレイント

2.フォールアレスト

3.ワークポジショニング(ロープアクセス含む)

この3つの形態の特徴や注意事項については別のブログで書きます。

今回、『墜落制止用器具』の法律で規制したのは『フォールアレスト』の作業になります。

ここで、ご自身の日々の作業をよく思い出して下さい。

作業の一例は下記の通り。

フェンスに囲われた屋上。

フェンスに囲われているのでその中にいれば基本的に墜落の心配はないですね。この場合特に安全対策は必要ありません。

ロープを吊り元に結びつけ、自分が降りたい場所にロープを下ろして行く。

この時あなたはどこにいますか?

この時点でフェンスの外に出ているのであれば、それはすでにフォールアレストの作業となります。屋上の縁から墜落出来ないように作業制限をしているのであればレストレインかもしれません。

次に垂らしたロープにバックアップディバイスと下降器具を取付け、屋上から外壁側に乗り込みます。

これも乗り込みが終わり、完全にロープにぶら下がるまではフォールアレストの作業となります。

このように、『ロープ高所作業』をする場合に『ロープ高所作業』のみ行う事は少なく、レストレイン↔フォールアレスト↔ワークポジショニングと作業は状況に応じて変化していきます。

この作業の変化を考えると、仮に『ロープ高所業』を行う場合であっても、『墜落制止用器具』の特別教育は必要なのでは?というのが私の考えです。

垂らしたロープを下から登り、そのまま降りてくるだけの作業であれば『ロープ高所作業』のみと考えられますが、多くの作業者がこれに該当しないと思います。

③海外メーカーのハーネスやランヤードは使っても大丈夫ですか?

以前よりこの質問はよく出ていました。

旧安全帯には『特殊な構造の安全帯』という項目がありました。しかし、この規定で『特殊な構造の安全帯』として使うためには“厚生労働省労働基準局長”が同等以上の性能、効力を有すると認めたものとされておりました。

これはいちユーザーが行うことではなく、本来はメーカー再度が動くべき内容でしたが、どの海外メーカーもこの作業には着手することはありませんでした。

今回の法改正ではどうでしょうか?

『墜落制止用器具』の法律文面にも、ほぼ同様の文面が第10条に書かれています。

第10条 特殊な構造の墜落制止用器具又は国際規格等に基づき製造された墜落制止用器具であって、厚生労働省労働基準局長が第三条から前条までの規定に適合するものと同等以上の性能又は効力を有すると認めたものについては、この告示の関係規定は、適用しない

この規定に基づく動きは各メーカーともしませんでした。

いくつかのメーカーが行った作業は、すでに海外の規格を通している商品が日本の規格に適合しているのか、強度規定や実験方法等の確認作業を行うことでした。

結果として、『墜落制止用器具』の規格規定に足りうる内容を確認できたとして、会社として適合宣言を出し、対象の商品についらく『墜落制止用器具』規格“適合”のラベル等を貼付し出荷するに至りました。

日本のハーネスは欧米の規格と異なり、第3者機関の検定等が必要ないため、会社で適合の判断を行うことで規格適合をうたうことが出来るルールとなっているためです。

今は

Petzl社、CAMP社、singing lock社等が国内法に適合しているとして、ハーネスやフォールアレストランヤードを『墜落制止用器具』として販売しています。

よって、この適合宣言をしている商品については規格適合品として国内メーカー製造の商品同様に使用可能と言うことになります。

私の結論

確かに法律上は何をしなくてはならないかが規定されています。しかし、現在の日本の高所作業を取り巻く法律は施行されたばかりか、尋常じゃなく古いか、のどちらかになります。

自分の命は自分でしっかり守りましょう!

余談

『墜落制止用器具』の法改正で、ようやく国際標準に法律水準を合わせる動きをしましたが、結局日本独自の風習やメーカー再度の都合(出荷本数など)が含みおかれたという法改正になってしまったのだと思います。

有識者会議の参加者がどういった経歴なのかまでははっきりわかりませんが、少なくとも欧米からの経験豊富な見識者が招かれた様子はないように思えます。

先般とある、有名な安全教育を行う協会のリスクアセスメント講習に参加しました。いくつか不明な点を質問しましたが、不明確な回答が多い。休憩中に食い下がって質問したところ、講師の回答はなんと…

「現場に行った経験はないので、現場のことを聞かれてもわからない(怒)」

とある、墜落制止用器具特別教育の講習では主催者の担当者が100人近い受講者に向けての開始のあいさつで…

「おはようございます!皆さんお疲れですし、一日眠いと思いますが、頑張って寝ないでいただければ、一生使える修了カードをお渡しできます!寝ないよう頑張ってください!」

ガンバレルーヤ よしこさん的に言うなら…

『クソがっ!』

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『ロープ高所作業』施行は有効だった?

高所作業研究室室長のKENです。

今回は日本の国内法『ロープ高所作業』について書いていきたいと思います。

ここでは、法律の内容について書くのではなく、この法律がどういった意味を持っているのか、どの程度役に立っているのかについて考えて行きたいと思います。

過去のブログでも書いたのですが、『ロープ高所作業』の法律はつい最近出来たばかりです。

約50年ほど前からロープにぶら下がる作業をしていたにもかかわらず今までは法律がなかった…。

では何故このタイミングで法律が出来たのか?

一言で言うと『多くの方が死んでいる』からですね。

法律とは不思議なもので、危ないという事実が明白でも、人が死ぬ前には法律を作らないのですね。

ストーカー行為などでの警察の対応に似ていますね。ことが起きる前に相談に行っても何も動いてくれない。事件が起きてから動く。

ちょっと話しがずれました。戻します。

ロープ作業での事故は建設業全体の労働災害数からするととても少ない数字です。作業人口の母数が決定的に違います。

しかし、通常の労働災害とことなり、ロープ作業の事故発生はほぼ100%近い確率で死亡災害となってしますことです。仮に一時的に重傷で助かったとしても、その後亡くなられるか、大きな後遺症を残しすことになるでしょう。

基安安発0313第2号 ロープ高所作業に係る安全対策のさらなる推進について(要請)より

上記はH28年当時のロープ高所作業による死亡者数を示したものです。その後の年については『ロープ高所作業』のみの死亡者数をまとめた方向が出ておらず、正確な数字は分かりません。

しかし、私の知りうる限り、H29年、H30年、H31年もほぼ同水準の死亡者数であると思います。

さて、死亡者数が減らないことから法律の施行に至った『ロープ高所作業』ですが、H28年1月1日以降法律施行の成果はみられたでしょうか?

数字上だけとらえると成果はみられてません。

何故このような結果になっているかについては色々理由はあると思います。

そもそも法律は『最高』を定めるものではなく『最低』を定める物だと私は認識しています。

実際に法律施行後の事項事例として公表された内容を見る限り、『最低』を定めている法律すら守れない作業員が死亡に至っているのだと感じます。

はたして、これは亡くなった作業員の方達だけでしょうか?

別のブログで書いていますが、おそらく根本的にいつジョーカーを引いてもおかしくない作業員、事業者の方が大半を占めているのではないでしょうか?

そうだとすると、今後死亡者数は減るどころか、増える傾向になっていくと考えます。

何故かというと、『ロープ高所作業』の法律を中途半端な内容で施行してしまったため、認知だけされて作業者が増えてきているからです。

『ロープ高所作業』は既存の法律の一部改訂ではなく、新設された法律でしたので、せめて「最低」を定めるのではなく、欧米諸国の水準に近いレベルの内容で施行すべきだったのだと感じます。

私はお客様から『命がけの仕事だよね~』とよく言われます。

私は明確に『お仕事ですので、私達は命は掛けてません。』と答えます。一日数万円の賃金で毎日毎日命なんか掛けられませんよね。

命を掛けてやるべき仕事はないと思っています。普通の人がやるなら命を掛けなくてはならない作業を、命を掛けないで出来るような技術を持っているからプロフェッショナルなのだと思います。

一番勘違いしてはいけないのは、法律の水準があがったとしても結局法律はあなたの命を守ってはくれません。

もちろん法律を理解し、遵守することは重要です。しかし、何故死に至ってしまうのか?という本質的な事に興味を向けない限り事故発生の根本は改善に向かわないでしょう?

最後に質問です。

あなたが死んで悲しむ人はいますか?

次回は『墜落制止用器具』と『ロープ高所作業』の関係について書いていこうかと思います。

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ロープアクセスの世界

高所作業研究室の室長のKENです。

今回はロープアクセスのお仕事をご紹介していきます。

日本で『ロープアクセス』という言葉が出てきたのは、ここ数年だと感じます。

以前より日本ではロープのお仕事は『ブランコ作業』と言われてきました。未だにお客様は『あーブランコ作業ね!』と言います。

私も技術的な違いを説明するのが面倒なので、最近は『そうです。』と答えています。

まぁこれがロープ作業についての世の中の認知度と言うことです。

少し昔に遡ってみます。

文献等があるわけではないので、あくまで私が色々な人から聞いて集めた情報であることを承知で読んで下さい。

日本ではおそらく1970年代頃からロープ技術を用いたガラス清掃作業等は行われていたようです。年齢で言うと、現在70歳代前半~60歳代の方が20歳代の頃だと思います。

当時は登山やクライミングの技術を持っている方達が、その技術を用いて作業を行っていたようです。

業歴で考えると約50年です。結構長いですね。

業歴は50年間ですが、驚くことにロープ作業について法律が出来たのは2016年とつい最近です。

法律が出来るまでの数十年は、何の規制も設けられず、技術的な指針もなく、各作業者の自己責任で作業をしてきたと言うことです。

一方海外はどうでしょうか?1900年代前半からロープ作業に近いような作業を行っていた古い写真を見る機会があります。

近代的な技術として進化し始めたのは、1980年代に入ってからです。

1980年代後半頃にはオフショア産業を中心とした会社が中心となって、技術的な指針を示す協会なども設立されています。

その後2003年に国際規格ISOでロープアクセスが規定され、現在に至っています。

海外では規模の違いはありますが、いくつかの協会が主催する技術資格を持つことでロープアクセスのお仕事に就労することとなっています。

irata international https://irata.org/

SPRAT https://sprat.org/

FISAT https://www.fisat.com/fisat/frontpage/

ARAA https://www.waha.org.au

テクニカルな要求値については似たり寄ったりかと思いますが、各地域の特性や法的整備の違い等に併せて運用されています。

上記の資格で日本国内にも技術者がいるのは「irata international」の有資格者です。その他の資格を持っている方もいるかも知れませんがごく少数となっているでしょう。

欧米諸国でロープアクセスの仕事に従事する場合は上記の資格を保持していないと就労できない事が多いです。

一方日本はどうなっているのでしょうか?

先に書いたとおり、日本では2016年に『ロープ高所作業』と言う名称で労働安全衛生法、安全衛生規則の改正が行われました。

それまでは厳密な法律での定めはない中で、ロープ作業を多用する主たる業種の業界団体が技術的教育をしたり、安全に関する啓蒙をしたりしている状況でした。

特にこれと言ったスタンダードもなく時代が進んできたと言っていいでしょう。

現在は『ロープ高所作業』の法律の下、1日間の『特別教育』という教育課程を修了した作業者が作業を行うものとしています。

では、ロープを使った仕事とはどういった仕事があるのでしょうか?

一概にロープを使うと言っても幅がありますが、いくつか紹介していきます。

もっとも作業者が多いのは『ガラス清掃』でしょう。

近年は外壁調査・橋梁点検・鉄塔点検などのインフラの点検業務も増えてきています。

業界で言うと風力発電業界もロープアクセス技術者の活躍の場が多い業種です。

技術的にはロープアクセスとは異なりますが、「樹木の伐採」にもロープの技術が多用され始めています。

建設業界ではまだまだロープアクセスでの依頼は少ないですが、外壁の補修や防水工事、塗装工事などでも利用され始めてきています。

「U字吊り」という技術もロープを使った仕事の一つですが、ここまで含めると、送電鉄塔や電柱、アンテナなどの作業も多く行われています。

ロープアクセスを含めロープを用いた高所作業はあくまで足場の工法の一つです。

組足場や高所作業車、ゴンドラなどと同様に現場の状況や作業内容に併せて使い分ける技術と言うことで、手技として行う作業との組み合わせは数多くあることは上記の仕事紹介をみて頂いてもわかると思います。

私は、ロープのお仕事を全く知らない方達とお話しする場に良く足を運びます。

皆さんから一律に出る質問は「お給料高いんでしょ~!」という質問です。

この質問に私は必ず逆質問で返します。

「あなただったら一日いくらもらったらロープのお仕事しますか?」

この質問への回答金額には驚きを隠せないことが多いです。

私達が日常的に提案している見積もりの金額との格差がすごい…

でも、見積もり出すと高いと言われる。

なぜこのギャップが起こるのかが未だに解決出来ていません。

独立から約9年が立ちますが、この格差に楔を打ち込む努力を続けていますが、なかなか大きな改善にはつながっていません。

この仕事の特殊性の“認知”と“作業者の真のプロフェッショナル化”が必要なのではと言うのが私の最近の見解です。

私が業界に対して出来る貢献は“認知度”UPではないかと思い、活動をし始めました。

今回はロープアクセスの紹介をしてきました。この業界に関わる方が読むと色々思うところはあるでしょう。

次回は日本の法律『ロープ高所作業』について書いていきたいと思います。

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高所作業ってなに?第4話

高所作業研究室のKENです。

前回は人間の一つの特性と安全との関係性について書きました。

このブログを読んで頂いた方の中には、多くの事を同時に意識し適切なバランスを調整出来るという方もいたかも知れません。

しかし、一つの事に集中している状態100%が一番能力を発揮出来ているとすると、“分身の術”でも出来ない限り、100%を超えて200%↗、300%↗と出来ないことはご理解頂けるのではないでしょうか?

さて、この第4話では人間の能力の別の一面と『高所作業』の関係を考えて行きましょう。

みなさんがある一つの事をやり続けると最初に始めた時と比べ、多くの事を意識しなくてもスムーズに出来るようになってくると思います。

これをおそらく「慣れ」と呼んでいると思います。

この「慣れ」は人間にとってとても重要な能力だと思います。

しかし、この「慣れ」は“良い面”と“悪い面”を合わせ持っています。

“良い面”については比較的わかりやすいですね。

最初は不慣れだった作業などが、時間を重ねると共にスムーズに出来るようになっていく事が良い例かと思います。

こちらは第3話で書いた“無意識の領域”を良い意味で使える様になってきたのだと思います。

では、“悪い面”はとどういうことでしょう?

例えば安全との関係で言うと、「最初は高いところが怖かったのにだんだん怖さがなくなっていく」などは、わかりやすい例だと思います。

この“悪い面”の慣れの不思議なところは、危険な作業をしていても起きる現象であることです。

例えば、10階建てのビルの縁に何も安全対策をせず立ち、そのままビルの縁10メートルを往復する。

最初の一往復目はかなりの恐怖で冷や汗が停まらないでしょう。

100人にこの作業を10回繰りしてもらったとしても、墜落するのは0人の可能性が高いと思います。そうそう人は墜落しませんからね。

すると10往復目にはどういった現象が起きるでしょう。

おそらく恐怖はなくなり、意図もたやすく歩くことが出来るようになってしまいます。

これが“悪い面”の慣れの典型だと思います。

ここで、昨年東京労働局が出した安全勧告文書を見てみましょう。

死亡事故災害事例の「経験年数」を記憶して頂き、次に進みましょう。

話しを元に戻します。

さらに『慣れ』にはもう一つの側面があります。

それは『経験値』です。

安全対策を講じずに屋上の縁を10往復出来ると、「何も安全対策をしなくても墜落しなかった」と言う『経験値』を得てしまいます。

こう言った経験値をひたすら積み上げて行くと、同じような作業や環境に置かれた際に『何もしなくても落ちない』となってしまうのです。

最初に恐怖を感じた状況と10往復終わった後の安全性は何も変わっていないのに…。

これが人の慣れの不思議な力です。

では、この慣れによる不可思議な『経験値』にリセットをかけることが出来るのでしょうか?

私は出来ると信じています。

それは、『正しい知識』と『適切な訓練』しかないと思います。

私は…

現場での実務経験を→『アクセル』と呼び、

『正しい知識』と『適切な訓練』を→『ブレーキ』と呼んでいます。

私の所に来て頂く多くの受講生や他社従業員の方や事業主の方のお話しを聞いていると、ひたすら『アクセル』のみ踏んでいる様に感じることが多いです。

その方達のお話しの中に『ブレーキ』が存在しないのです。

先に添付した「東京労働局」の注意勧告の死亡災害事例の方達の経験年数が軒並み10年~30年以上となっていることは、正しく『ブレーキ』が存在しないことを物語っています。

そこで、読んで頂いている方に聞きます。

あなたは『ブレーキ』のない車を買いますか?乗りますか?

『安全』を川の流れに例えると、私は正しい知識や訓練を行い、なるべく川の上流で川に入水したいと考えます。

そして川下に流されないよう頑張って上流に向かって必死に泳ぎます。

しかし、多くの方は川下に滝がある川の下流付近で入水し、特に頑張ることもなく流れに身を任せているのではと思います。

どう考えての滝に落ちていきますよね。

私も含め、元来多くの人は面倒なことはやりたくないと思っているのではないでしょうか?

で、あれば川の流れに身を任せるにしてもかなり上流で入水しないと、デットラインはすぐ間近なのです。

私の結論:正しい知識・適正な訓練無き経験は『経験値』=0

あなた:私はロープアクセス経験20年以上です。

お客様:おー、大ベテランですね~。

あなた:そうですね!今まで事故もありません!

お客様:それは安心だ!プロですね!!

あなた:ありがとうございます!

お客様:ところで、このロープはどれくらいの強度あるんですか?

あなた:・・・、相当強いんですよ(汗)

お客様:そうですよね~。命かかってますもんね~。

あなた:そうですね~えへへ~。

この会話…、このレベルなら早く高所作業を止めた方がいいです。まさしく『知識無き経験値』の典型です。

第4話では『慣れ』について書いてきました。

次回は少し思考を変えて、私の専門領域の『ロープアクセス』の業界について書いていきたいと思います。

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高所作業ってなに?第3話

高所作業研究室の室長のKENです!

さて、前回まではそもそも『高所作業』特性を持つものなのかを書いてきました。『高所作業』を取り巻く環境の構造上の問題も取り上げました。

では、第3話では『人』に注目して考えて行きます。

前回までに申し上げて来た通り、『高所作業』は“目的”ではなく“手段”であることは間違いありません。

とは言え、『作業』である事も承知の事実ですね。

例えば、塗装作業で最終的に求められる「仕上がり」や「品質」は、『高所作業』の場合は「安全」と読み替えられるでしょう。

では、『高所作業』で求められる安全とはなんでしょうか?

端的に表現すると「死なないこと」を求められているのだと思います。

しかし、建設業労働災害防止協会が出しているデータの通り、直近10年程度を見ても、高所からの墜落・転落で年間約140人程度が毎年亡くなられており、その割合は建設業での労働災害死亡事故の半数近くを占めています。

出典:建設業労働災害防止協会

次のデータはどうった作業時に墜落死亡事故が起きているかを示しています。

出典:建設業労働災害防止協会

ここで、『人』について考えて行きましょう。

上記のグラフを集計した方は、「組立作業中」+「解体作業中」で37.0%、「足場上作業中」+「足場上移動中」で56.3%と種類分けしています。

私はこのグラフを見た時にちょっと異なる種類分けをしました。

①「組立作業中」+「解体作業中」+「足場上作業中」が78.1%、②「足場上移動中」が14.9%と分けました。

①、②の違いは何でしょうか?

これは「仕事の構造」と「人間の能力」と深くリンクしていると考えています。

(1)人間は2つの事を同時に考える事は出来ない。

(2)優先順位が高い事柄に意識集中のバランスが偏る。

このマルチタスクの時代、多くの事を同時にこなしていると思える人がいますが、実のところ複数の事を同時に考えているのではなく、思考の切り替えスピードが速いだけなのだと思います。

では、人間には上記の様な”特性“があるという視点で①、②をみてみましょう。

①の3つは「本作業」と呼ばれる作業と「高所作業」をしている、②は「高所作業」のみしている場合での事故発生率ですね。

私も職人として仕事をして来たので、自身の経験をもとに振り返ると下記の通りです。

例えば、「外壁の点検」と依頼を受け、ロープアクセス技術を用いて作業を実施するといった場合、作業を行っている最中の私の頭の中は「点検業務」に80%、「ロープアクセス」に20%と言った意識集中のバランスで、思考を切り替えながら仕事をしていると思います。

これは、受講生の方に同様の質問をしても、感覚値はかなり近いと回答が帰ってきます。

この数字をみると20%の意識配分で高所作業してれば、それは事故って当たり前と思いませんか?

脳みそが2つあって、「点検作業」100%、「高所作業」100%の合計200%が出来れば事故はなくなるのかも知れないですが、ケルベロスには慣れないので、考えるだけ無駄でしょう。

では80-20%の意識バランスが変わらない中でどうしたら安全が担保できるか考えて見て下さい。

色々な答えが出てくるかもしれません。

私の考えは、「意識」している領域の外側である「無意識」の領域を使うこと…です。

では「無意識」の領域はどうやったら使える?

わかりやすい例としては、「お箸」。

みなさんは「お箸」を使う際に、「どうやって使おう」とか「どうやって持とう」とか考えていますか?

いつの頃から考えなくても「お箸」を使えるようになりましたか?

明確に記憶にある人は少ないと思いますが、これが「無意識」の領域を使えている良い例でしょう?

使い始めの頃は、母親から使い方を教えてもらい、怒られ、直しての繰り返しではなかったでしょうか?

これって一言で言うと「訓練」です。

「無意識」の領域を使うためには「訓練」しかないというのが私の考えです。

では、前話まで書いてきた内容と照らし合わせて考えて下さい。

『高所作業』を行う作業員みなさんは、高所作業を安全に行う為の適正な訓練を受けて来ましたでしょうか?

おそらく答えは”No!“ではないでしょうか?

私の結論:『作業』である以上、適正な訓練をしない限り安全は担保できない。

今回は事故発生ロケーションと「人」の一能力に注目して考えてきました。

次回第4話も『人の能力』についてですが、今回お話しした能力とは別の側面にスポットライトを当てて考えて行きたいと思います。

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高所作業ってなに?第2話

高所作業研究室の室長のKENです!

さて第1話では『高所作業』が『作業』と名が付いているが、“目的”ではなく”手段”である事について書きました。

では、“手段”であることは何が問題なのか??について考えて行きます。

まずは構造上の問題について…

例えば、塗装。第1話でも書きましたが、お客様はA社に自分の建物を『塗装』して下さいと依頼します。『塗装』はお客様にとっても、依頼を受けるA社にとっても“目的”となり、そこにお客様は対価を支払っています。

どうやって塗装をするかの“手段”についてはお客様にとっては、正直興味がないところで、値段が安いに越したことはないと言ったところでしょう?

ここでA社は足場や高所作業車、脚立、梯子、ロープアクセス等の“手段“も含めて提案をします。

実はこの“手段”にも大きな費用がかかります。

言われんでも知ってるわ!!と思いますね。

しかし、お客様はここにはお金を払いたがりません。気持ちは分かります。

で、どうなるかと言うと、この“手段”に対しては適正な価格を取れず、結果もちろん必要な教育や資機材へ適正な投資が出来なくなります。

特に建設業の様な縦軸の次数多重下請け構造では、末端の作業を行う会社に安全や教育に投資するお金は下りてきません。

仮に“手段”である『高所作業』であっても『作業』である以上、質の高い人材を育て、適正な装備を使用し、そのスキルに対して適正な対価を取るべきなのだと思います。

私は『安全への投資』や『ハイスペックなスキル』は、お菓子に付いてる『おまけ』の扱いなのだと感じることが多いです。

この長年掛けて培われて来た思考回路はそうそう変わることはないでしょう。

私は講習会で『あなたはどうやって安全は手に入れますか?』と質問します。

多種多様な回答が出てきますが、私の答えは明確。

『お金で買う物です。』

情報、時間、道具、作業のひと手間…等々すべて買うことは出来ます。

ごちゃごちゃ悩んでいる人の多くは、学ぶ事に時間は割かない、講習代が高いと文句を言う、お客さんにちゃんと説明するのが面倒なので、はしょって作業をして自分がもらう金額に自分の作業を合わせる、ではないでしょうか?

私の結論:“手段”である『高所作業』もれっきとした『プロが行う作業』であり、ちゃんと投資すべき『作業』だと思う。

第2話では、『安全』へ適正な投資が出来ない構造上の問題について書いてきました。

次回第3話は『人』に注目して考えて行きます!!

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高所作業ってなに?第1話

高所作業研究室の室長のKENです。これまで10年以上高所作業を専門として活動してきました。ここ数年は自身が開催する講習などを通じて高所作業に悩みを持たれている方と接してきました。

何を書こうか…何か伝えるべき事があるのか…悩んで来ましたが、

結論、言いたいこと、書きたいことを書くことにしました~。

私は高所作業の中でも少し特殊なロープアクセスと言う技術を使った仕事をしてきました。

自身の経験を踏まえ、高所作業が何かを考えていこうと思います。

さて、自分の過去を振り返ってみるとお客様から「うちのビルの屋上からロープで降りてよ。」という依頼は1件もありませんでした。

『高所作業』は読んで字のごとく『作業』なのですが、お客様から依頼を受けて行う『本作業』とは一線を画しているのだと思います。

補修や塗装、清掃等がお客様の言う『作業』であり、高所作業という『作業』はお客様にとってはお金を支払うべき所ではないのだと言うことです。まぁ本作業を行う為の手段であり、どうやって高い場所に行こうが、基本知ったことではないのですね。

では、これがどういった現象を生み出しているかが問題です。

例えば、『塗装作業』。

これはお客様から依頼を受け、対価を受け取る作業ですね。もちろんプロとして依頼を受け納品する以上、仕上がりや見えない部分の施工の品質の高さを求められます。

その為、会社では作業員に塗装の技術を教育し、必要な資格を取得させより高い品質を担保できるよう、人にも使用する材料にも多くの投資を行います。

では、『高所作業』はどうでしょう?

作業と名はついていますが、高所作業についてちゃんと教育を受けたことはありますか?

講習に訪れる人にこの質問をすると、誰からも『高所作業』について教えてもらったことがない…という回答が大半。

死と隣り合わせの作業にもかかわらず、誰にも教えてもらっていないと言うのが高所作業なのです。

驚きですが、現実です。

★今日の結論★

『高所作業』は”手段”であって”目的”ではない『作業』である。

では次回は、”手段”である『高所作業』が生み出す問題を考えて行きたいと思います。

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