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高所作業ってなに?第4話

高所作業研究室のKENです。

前回は人間の一つの特性と安全との関係性について書きました。

このブログを読んで頂いた方の中には、多くの事を同時に意識し適切なバランスを調整出来るという方もいたかも知れません。

しかし、一つの事に集中している状態100%が一番能力を発揮出来ているとすると、“分身の術”でも出来ない限り、100%を超えて200%↗、300%↗と出来ないことはご理解頂けるのではないでしょうか?

さて、この第4話では人間の能力の別の一面と『高所作業』の関係を考えて行きましょう。

みなさんがある一つの事をやり続けると最初に始めた時と比べ、多くの事を意識しなくてもスムーズに出来るようになってくると思います。

これをおそらく「慣れ」と呼んでいると思います。

この「慣れ」は人間にとってとても重要な能力だと思います。

しかし、この「慣れ」は“良い面”と“悪い面”を合わせ持っています。

“良い面”については比較的わかりやすいですね。

最初は不慣れだった作業などが、時間を重ねると共にスムーズに出来るようになっていく事が良い例かと思います。

こちらは第3話で書いた“無意識の領域”を良い意味で使える様になってきたのだと思います。

では、“悪い面”はとどういうことでしょう?

例えば安全との関係で言うと、「最初は高いところが怖かったのにだんだん怖さがなくなっていく」などは、わかりやすい例だと思います。

この“悪い面”の慣れの不思議なところは、危険な作業をしていても起きる現象であることです。

例えば、10階建てのビルの縁に何も安全対策をせず立ち、そのままビルの縁10メートルを往復する。

最初の一往復目はかなりの恐怖で冷や汗が停まらないでしょう。

100人にこの作業を10回繰りしてもらったとしても、墜落するのは0人の可能性が高いと思います。そうそう人は墜落しませんからね。

すると10往復目にはどういった現象が起きるでしょう。

おそらく恐怖はなくなり、意図もたやすく歩くことが出来るようになってしまいます。

これが“悪い面”の慣れの典型だと思います。

ここで、昨年東京労働局が出した安全勧告文書を見てみましょう。

死亡事故災害事例の「経験年数」を記憶して頂き、次に進みましょう。

話しを元に戻します。

さらに『慣れ』にはもう一つの側面があります。

それは『経験値』です。

安全対策を講じずに屋上の縁を10往復出来ると、「何も安全対策をしなくても墜落しなかった」と言う『経験値』を得てしまいます。

こう言った経験値をひたすら積み上げて行くと、同じような作業や環境に置かれた際に『何もしなくても落ちない』となってしまうのです。

最初に恐怖を感じた状況と10往復終わった後の安全性は何も変わっていないのに…。

これが人の慣れの不思議な力です。

では、この慣れによる不可思議な『経験値』にリセットをかけることが出来るのでしょうか?

私は出来ると信じています。

それは、『正しい知識』と『適切な訓練』しかないと思います。

私は…

現場での実務経験を→『アクセル』と呼び、

『正しい知識』と『適切な訓練』を→『ブレーキ』と呼んでいます。

私の所に来て頂く多くの受講生や他社従業員の方や事業主の方のお話しを聞いていると、ひたすら『アクセル』のみ踏んでいる様に感じることが多いです。

その方達のお話しの中に『ブレーキ』が存在しないのです。

先に添付した「東京労働局」の注意勧告の死亡災害事例の方達の経験年数が軒並み10年~30年以上となっていることは、正しく『ブレーキ』が存在しないことを物語っています。

そこで、読んで頂いている方に聞きます。

あなたは『ブレーキ』のない車を買いますか?乗りますか?

『安全』を川の流れに例えると、私は正しい知識や訓練を行い、なるべく川の上流で川に入水したいと考えます。

そして川下に流されないよう頑張って上流に向かって必死に泳ぎます。

しかし、多くの方は川下に滝がある川の下流付近で入水し、特に頑張ることもなく流れに身を任せているのではと思います。

どう考えての滝に落ちていきますよね。

私も含め、元来多くの人は面倒なことはやりたくないと思っているのではないでしょうか?

で、あれば川の流れに身を任せるにしてもかなり上流で入水しないと、デットラインはすぐ間近なのです。

私の結論:正しい知識・適正な訓練無き経験は『経験値』=0

あなた:私はロープアクセス経験20年以上です。

お客様:おー、大ベテランですね~。

あなた:そうですね!今まで事故もありません!

お客様:それは安心だ!プロですね!!

あなた:ありがとうございます!

お客様:ところで、このロープはどれくらいの強度あるんですか?

あなた:・・・、相当強いんですよ(汗)

お客様:そうですよね~。命かかってますもんね~。

あなた:そうですね~えへへ~。

この会話…、このレベルなら早く高所作業を止めた方がいいです。まさしく『知識無き経験値』の典型です。

第4話では『慣れ』について書いてきました。

次回は少し思考を変えて、私の専門領域の『ロープアクセス』の業界について書いていきたいと思います。

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